久保聖(くぼひじり)子どもの原体験デザイナー

名前:久保 聖(くぼ ひじり)
肩書き
子どもの原体験デザイナー
キャッチコピー
「正解」を探すより
「やってみたい!」を育む原体験を。
一言紹介
子どもたちそれぞれが社会で輝ける未来を目指し、デンマークで教育を学ぶクラウドファンディングに挑戦中。幼少期の原体験が未来をつくると考え、子どもたちに多様な体験の機会を届ける、子どもの原体験デザイナー。

「上手にできる」より
「やってみたい」を守る

小学一年生になったばかりの男の子は

イベント会場に着くと
母親の後ろに隠れていました。

初めて会う人ばかりの場所で
自分から輪の中に入ることができません。

久保聖さんは

誰かを紹介したり
無理に会話へ入れたりせず
その子の様子を見ていました。

普段は元気に遊ぶ子だと知っていたからです。

きっかけさえあれば
自分から動けるかもしれない。

しばらくすると
その子は初対面の小学三年生の男の子へ
少しずつ近づいていきました。

最初は短い言葉を交わすだけでしたが
やがて二人は一緒に遊び始めました。

イベントが終わる頃には
学校も年齢も違う二人が
すっかり打ち解けていました。

誰かに仲を取り持ってもらったのではありません。

その子が、自分から一歩を選んだのです。

久保さんはその姿を見ながら
一つの体験が「自分にもできる」という
自信に変わる瞬間を感じていました。

子どもに必要なのは
いつも正しい答えを教えてくれる
大人だけではない。

自分で試すまで
そばで待ってくれる大人も
必要なのだと考えています。

子どもが挑戦する前に
答えを渡してしまう

久保さんは現在、大学に通いながら
保育園やベビーシッター、子ども食堂
子ども向けイベントなどを通して

幼児から小学生まで
多くの子どもたちと関わっています。

そこで何度も耳にしてきたのが
次のような言葉でした。

「上手に描けないから、やらない」
「先生がやって」

まだ始めてもいないうちから
上手にできるかどうかを気にする。

正解が分からなければ
自分で試す前に大人へ任せてしまう。

失敗したくないという気持ちは
大人にもあります。

しかし

正解や上手さばかりを求めれば
子ども自身が考える時間は少なくなります。

もちろん、困っている子を助けることは必要です。

ただ、大人がすべてを先回りすれば
自分なりの方法を見つける機会まで
失われてしまいます。

久保さんが見つめているのは
完成したものだけではありません。

どのように考えたのか。
どこで迷ったのか。
最後に何を選んだのか。

その過程にこそ
子どもの未来を支える経験があると考えています。

先生ではなく、近くで見守る人でありたい

保育園では先生という立場ですが

久保さんは
上から答えを教える関わり方を目指していません。

子どもの近くに立ち
その子が自分で挑戦するために
どのような言葉をかければよいのかを考えます。

ときには、あえて
すぐに手を出さないこともあります。

大人がやれば
短い時間できれいに完成するかもしれません。

それでも
子どもが自分で考え
自分の手を動かした経験は残りません。

たとえ思ったとおりにできなかったとしても
次はどうすればよいのかを考えられる。

誰かに頼る前に
一度試してみようと思える。

久保さんがつくりたいのは
そのような小さな挑戦が生まれる場所です。

幼少期の原体験は
その場限りの思い出ではありません。

人との関わり方や自分で選ぶ力
その後の進路にもつながっていきます。

一度の体験ですべてが変わるわけではありません。

それでも

「自分でできた」という記憶が一つあれば
次の一歩を選ぶときの支えになります。

久保さんが
子どもの体験に強く関心を持つ背景には

自身の可能性を
信じられなくなった経験がありました。

「自分には何もない」と感じた大学生活

久保さんは
地元の北海道で起業したいという希望を持ち
東京の大学へ進学しました。

自分にも何かできるはずだという期待を持って
北海道を離れました。

しかし

大学で周囲と話す中で
たびたび実績を求められるようになります。

これまでに何をしてきたのか。
どのような成果を出したのか。
人に話せる経験を持っているのか。

高校を卒業したばかりの久保さんには
自信を持って示せるものがありませんでした。

実績がないことを伝えたあと
相手との距離ができたと感じることもありました。

周囲の学生が持っている経験と比べるほど
自分には何もないように思えてきました。

苦しかったのは
目に見える成果がないことだけではありません。

東京へ来るまで
何もしてこなかったわけではない。

北海道で自分なりに考え
悩み、準備してきた時間がありました。

それにもかかわらず

自分でその過去まで
否定するようになっていたのです。

できると思って東京へ来たはずなのに
いつの間にか「自分には無理だ」と考えている。

久保さんにとって
その事実が何より苦しいものでした。

子どもたちは、実績を尋ねなかった

自信を失っていた時期にも
変わらず久保さんを必要としてくれたのが
子どもたちでした。

どのような実績があるのか。
何が得意なのか。
将来、何者になるのか。

子どもたちは
そんな条件を求めませんでした。

一緒に遊んでくれること。
話を聞いてくれること。
近くにいてくれること。

目の前にいる久保さんを
そのまま受け入れてくれました。

子どもたちとの時間に救われながら
久保さんは考えるようになります。

今は周囲の評価を気にせず
好きなことに夢中になっている子どもたちも
成長すれば、成績や実績を求められるようになる。

そのとき

自分と同じように
それまで積み重ねてきたものまで
否定してほしくない。

「何もないから無理だ」

自分の可能性を閉じてほしくない。

自分を受け入れてくれた子どもたちへ
今度は自分が可能性を信じられる経験を届けたい。

この思いが
久保さんの現在の活動につながっています。

自分を大切にするだけでは
答えにならなかった

子どもの気持ちや個性を尊重したい。

その考えを持って活動する一方で
久保さんには迷いもありました。

自分を大切にすることを優先しすぎれば

集団生活の中で
自分の希望だけを通そうとする子に
なってしまうかもしれない。

反対に

周囲へ合わせることばかりを教えれば
その子らしさが失われてしまう。

自分を大切にすることと
周りの人を大切にすることを
どう両立させればよいのか。

子どもの挑戦を見守ることは
本当にその子のためになっているのか。

大人はどこまで手を出し
どこから待てばよいのか。

日本で子どもたちと関わる中で
答えの出ない問いが増えていきました。

その答えを探す中で出会ったのが
デンマークの教育です。

デンマークでは

学力や技術を伸ばす前に
自分自身を大切にする考えが
教育の土台に置かれています。

久保さんが知りたいのは
制度や方法だけではありません。

現地の教育者や保護者は
子どもをどのような存在として見ているのか。

子どもへ声をかけるとき、何を考えているのか。

資料を読むだけでは分からない部分を
自分の目で確かめたいと考えました。

長く抱えてきた留学への思いを今

久保さんには
小学生の頃から海外へ留学したい
という希望がありました。

高校も留学できる環境を考えて選びました。

しかし

新型コロナウイルスの影響によって
その機会は失われました。

大学生になってからも
海外で学びたいという気持ちは残り続けました。

それでも

時間と費用の問題があり
具体的な行動には移せないまま
大学4年生を迎えます。

卒業後は、社会人として仕事に集中したい。

働き始めれば
長い期間を海外で過ごすことは
今以上に難しくなるかもしれない。

そう考えたとき

大学四年生の今が
長く抱えてきた希望を実現できる
最後の機会だと感じました。

行き先に選んだのは
自分が目指してきた教育に近い

デンマークでした。

「誰があなたにお金を出すの」

久保さんは
デンマークで教育を学ぶことに加え

自分が目指す活動をより多くの人に
知ってもらいたいと考えていました。

その方法として選択肢に浮かんだのが
クラウドファンディングです。

ただ

活動を広めるために
挑戦したいという気持ちはあっても
すぐに覚悟を決められた
わけではありませんでした。

家族から

「誰があなたにお金を出すの」

と、言われました。

クラウドファンディングの経験者からは
公開初日に目標金額の3割ほどを集めるため
事前に支援者の見込みをつくっておく
必要があると聞きました。

最初の目標金額は60万円。

最低支援額を3,000円として
何人に応援してもらう必要が
あるのかを計算しました。

数字を出してみても
それだけの人が思い浮かびません。

留学を目的とした
ほかのクラウドファンディングで
目標金額に届いていない事例も見つけました。

自分の活動に
本当に多くの人が関心を持ってくれるのか。

思いを伝えても、支援は集まるのか。

挑戦したい気持ちと
不安の間で迷う時間が続きました。

それでも、周囲の人から

「大丈夫だから」と背中を押され

久保さんはようやく覚悟を決めます。

何を学び、帰国後にどう生かすのか。
なぜ、この活動を広めたいのか。

一つずつ言葉にしながら
クラウドファンディングの準備を
進めていきました。

画面に表示された
知っている名前と知らない名前

クラウドファンディングが始まると
支援者の名前が一人ずつ表示されました。

長く活動を見守ってくれていた人。
一度だけ会ったことがある人。
久保さんと直接会ったことがない人。

予想していなかった名前もありました。

名前を見るたび
その人と交わした言葉や
これまでの出来事が思い出されました。

久保さんはインタビューの中でその気持ちを

「感謝という言葉だけでは足りない」

と表現しています。

クラウドファンディングは
渡航費を集めるためだけのもの
ではありませんでした。

自分がやろうとしていることを言葉にし
その考えを受け取ってくれる人がいると
知る機会にもなりました。

不安がなくなったわけではありません。

今も、最後まで支援が広がるのか
気にしながら発信を続けています。

それでも

一人で考えていた頃には見えなかったつながりが
少しずつ形になっています。

デンマークでの学びを
子どもたちの体験へ

デンマークへ行くことは
久保さんにとってゴールではありません。

現地で見たこと、聞いたこと、感じたこと

日本の子どもたちへ届けるところまでが
今回の挑戦です。

デンマークでは
幼稚園や小中学校などの
教育現場を訪れることを予定しています。

教育者は
子どもと接するときに何を意識しているのか。

子どもの個性と集団生活のバランスを
どのように考えているのか。

進路を考える高校生には
自分の将来をどのように捉えているのかを
聞きたいと考えています。

帰国後は、保護者や教育関係者へ

現地で学んだことを
共有する機会をつくる予定です。

ただ報告するだけではありません。

料理や自然体験などの
イベントに学びを取り入れ

子どもたち自身が考え
試せる体験の場へ変えていこうとしています。

家庭の環境に左右されない原体験を

自然の中で過ごすこと。
海外へ行き、異なる文化に触れること。
学校や家庭以外の人と出会うこと。

こうした体験は
その後の考え方や進路を変える
きっかけになります。

一方で

家庭の経済状況や住んでいる地域によって
参加できる体験には差があります。

久保さんは
子ども食堂などで子どもたちと関わる中で
その違いを見てきました。

将来つくりたいのは
限られた家庭の子どもだけが
利用できる場所ではなく

家庭の環境に左右されず
子どもたちが自然や海外
多様な人と出会える体験の場です。

地元の北海道にいる高校生にも

今の成績や、今見えている仕事だけで
自分の進路を狭めてほしくないと考えています。

まだ知らない学び方がある。
まだ会ったことのない人がいる。
まだ選んでいない道がある。

そのことを知る体験が
一人ひとりの未来の選択を増やしていきます。

久保さん自身も
まだ自分の答えを探している途中です。

だからこそ
完成した答えを渡すのではなく

子どもたちが
自分で考える時間を守ろうとしています。

あの日
母親の後ろに隠れていた小学一年生が
自分から年上の子へ近づいていったように。

小さな一歩を、自分で選べること。

久保聖さんが届けたいのは
その一歩が生まれる原体験です。

久保聖さんの挑戦を、もう少し知ってみる

久保さんが
なぜデンマークを目指しているのか。

現地で何を学び
帰国後にどのような活動へ
つなげようとしているのか。

クラウドファンディングのページには
今回の渡航にかける考えや、資金の使い道
帰国後に予定している活動が
詳しくまとめられています。

久保さんが目指している教育や
子どもたちへ届けたい体験に関心を持った方は

今回の挑戦を
もう少し詳しく知っていただけたらと思います。

久保聖さんのクラウドファンディングは
2026年8月31日まで実施されています。

久保聖さんとつながる場所

デンマークでの学びや帰国後の活動については
InstagramとFacebookを中心に
発信していく予定です。

子どもの教育や体験づくりに関心がある方は
これからの歩みを見守ってみてください。

この記事を書いた人

まさと クラウドファンディングプランナー/合同会社 綴 代表

想いを言葉に変え、仲間(共鳴者)を増やすライティング専門家|CFサポート150件(累計2.5億円)|あなたの人生を2%の余白を宿した物語へと綴ります|挑戦者に伴走して、感動して生きていく|卒園文集に書いた6歳当時の夢「貧しい国の人たちにお金を配る魔法使いになりたい」を叶えるために活動中!